日本人における自己申告による身体計測値の正確性:スコーピングレビュー

  • 青山 友子
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部
  • 苑 暁藝
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部
  • 松本 麻衣
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部
  • 岡田 恵美子
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部
  • 岡田 知佳
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部
  • 瀧本 秀美
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部

書誌事項

タイトル別名
  • How accurate are self-reported anthropometrics among the Japanese? A scoping review

抄録

<p>目的 集団における肥満ややせをモニタリングするために,疫学調査ではしばしば自己申告による身体計測値が用いられる。自己申告された身長と体重からBMI (body mass index)を求めると,集団における肥満(BMI≧25 kg/m2)の割合を過小評価することが知られている一方,やせ(BMI<18.5 kg/m2)の割合がどのように評価されるのかはよく理解されていない。そこで本研究では,肥満とやせの問題が共存する日本人において,自己申告による身体計測値の正確さに関するスコーピングレビューを行うことを目的とした。</p><p>方法 PubMedとCiNii Researchを用いて,2022年までに英語または日本語で出版された文献を検索し,日本国内で行われた身長・体重・BMIの自己申告値と実測値を比較した研究を採用した。各研究より,研究デザインおよびmean reported errors(平均申告誤差=申告値の平均-実測値の平均)を抽出して表に整理した。また,BMIカテゴリによる違いも考慮した。</p><p>結果 全国的なコホート研究(n=4),地域住民(n=4),職場(n=3),教育機関(n=6)において実施された計17編の文献(英語11編)が本レビューに含まれた。対象者の年齢(10~91歳)およびサンプルサイズ(100人未満~3万人以上)には多様性がみられた。観測された平均申告誤差の程度は研究によって異なったものの,大半の研究で身長は過大申告,体重は過小申告,BMIは過小評価された。BMIカテゴリ別の平均申告誤差を報告した3つの研究では,身長の申告誤差の方向性はすべての体格区分で変わらないものの,体重およびBMIはやせの区分のみで過大申告(評価)された。成人を対象とした4つの研究は,自己申告身長・体重に基づいたBMIを用いると,肥満の14.2~37.6%,やせの11.1~32.3%が普通体重(18.5≦BMI<25 kg/m2)に誤分類され,普通体重の0.8~5.4%および1.2~4.1%が,それぞれやせおよび肥満に誤分類されることを示した。</p><p>結論 自己申告による身長と体重に基づくBMIを用いると,日本人では集団における肥満とやせ両方の有病率を過小評価する可能性がある。自己申告による身体計測値を疫学調査に用いる際は,こうしたバイアスの存在を考慮する必要がある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580007704950528
  • DOI
    10.11236/jph.23-020
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    37673596
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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