江戸・明治時代の庶民風俗(続) ー茶筅・びいどろ鏡・文机・枕 ー付論「江戸・明治時代の庶民風俗」(補遺)

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  • Customs of Common People During the Edo and Meiji Periods (Cont.): Tea Whisks, Glass Mirrors, Reading Desks, and Pillows Supplementary Discussion: Customs of Common People During the Edo and Meiji Periods ( Addendum)

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要旨  前稿に引き続き,江戸・明治時代の庶民風俗に関連する項目から,茶筅・びいどろ(ガラス)鏡・文机・枕の四つを取り上げて述べた。  煎じ茶で用いられる茶筅は庶民層の用いる低廉な必需品で,煎じ茶が上質化して茶筅が不要となってゆく19世紀まで販売が続いていた。特に,空也上人の系譜に連なる京・空也堂の念仏聖たちは中世以来,自らの市中を廻る勤行に併せて茶筅を売り歩いた。その画像を集成して3 期に区分した。  青銅鏡からガラス製の鏡への移行過程は江戸・明治期に当たるが,その具体的様相は考究されていなかった。文献・画像資料の両面から,江戸期にすでに小型の懐中鏡と大型の姿見に一定の割合でガラス製品が含まれており,特に懐中鏡には国産ガラスの使用が考えられることを述べた。併せて明治前半の移行期の様相を考察した。  文机には江戸前半期までは大きな変化が認められなかったが,中期・18世紀半ばに至って唐机が導入され,後期・19世紀からは抽斗付きの机が主流となってゆく。その様相を画像資料を時代順に追うことで確認した。  枕は江戸前期の17世紀半ばに縦向き木枕(箱枕),中期の18世紀半ばにあづち枕が登場することによって大きく様相が変化していった。その木枕・あづち枕が特に女性の髪型の変化に対応して出現したものであったことを,浮世絵を中心とする画像資料から考察した。また,あづち枕の使用が女性の伝統的な髪型が継続していた大正期まで同様に継続していることを文献・画像資料の両面から示した。

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