保育者のワーク・エンゲイジメントと職務ストレッサーおよび特性的コーピング・スタイルとの関連

書誌事項

タイトル別名
  • Association of Work-related Stressors and Coping Strategies with Work Engagement among Japanese Nursery-school Teachers
  • ホイクシャ ノ ワーク ・ エンゲイジメント ト ショクム ストレッサー オヨビ トクセイテキ コーピング ・ スタイル ト ノ カンレン

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抄録

<p>本研究は,保育者のワーク・エンゲイジメントと職務ストレッサーおよび特性的コーピング・スタイルとの関連について横断的に検討をおこなうことを目的とした。270名の保育者を対象に質問紙調査を実施した。保育者の経験年数などの属性を統制して重回帰分析をおこなった結果,子ども対応・理解のストレス,給与待遇のストレス,および,諦めコーピングがワーク・エンゲイジメントと負の関連があることが示された。また,問題解決コーピングと子ども対応・理解のストレス,および,問題解決コーピングと保育所方針とのズレによるストレスとの交互作用項がそれぞれ有意であった。特に,問題解決コーピング得点の低い人では,子ども理解ストレスとワーク・エンゲイジメントとの関連はみられなかったが,問題解決コーピング得点の高い人では,子ども理解ストレスとワーク・エンゲイジメントとの間に有意な負の関連がみられた。子ども理解ストレスという職務ストレッサーを強く認知している保育者の場合,問題解決コーピングを用いてもワーク・エンゲイジメントは高くならず,保育者にとって問題解決コーピングが必ずしも適応的なコーピング・スタイルとはいえない可能性が示唆された。</p><p>【インパクト】</p><p>保育者が仕事に対して熱意を持っていきいきと働くには保育現場の問題にどのように対処すればよいのか,調査によって分析した。その結果,子ども理解の困難さや給与待遇への不満を感じている保育者はワーク・エンゲイジメントが低かった。特に,保育者が子ども理解に困難を感じる場合,個人でどのような対処をしても役に立たなかったことが示唆された。保育者個人だけではなく,組織としての対応が望まれる。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 34 (4), 380-394, 2023-12-20

    一般社団法人 日本発達心理学会

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