変異RNA特異的に遺伝子発現を抑制するデオキシリボザイムの創薬研究

DOI
  • 千葉 幸介
    大阪大学大学院薬学研究科 ルクサナバイオテク(株)

抄録

核酸医薬は,低分子医薬や抗体医薬では治療が難しかった遺伝性疾患や希少疾患に対する新たな創薬モダリティとして注目されている.現在,RNAを標的とするsiRNAやアンチセンス核酸(ASO)を主軸に多くの臨床試験が行われ, 執筆時点で18品目が承認されている.こうしたなか,次なる核酸医薬としてデオキリボザイム(DNAzyme)が注目を集めている.1本鎖DNAで構成されるDNAzymeは金属イオン存在下,DNAzyme自身がRNAを切断するユニークな分子である.DNAzymeは切断部位の配列特異性が非常に高いことから,ASOやsiRNAでは難しかった一塩基変異(SNPs)選択的なRNA切断が可能になると期待されている.一方で,ASOやsiRNAのように活性と安定性を高める化学修飾方法が確立されておらず,DNAzymeの創薬応用は進んでいなかった.しかし近年,DNAzymeに適切な化学修飾を導入し,細胞内で明確なRNA切断活性を示すことに成功した事例が相次いで報告された.本稿では,Nguyenらによって報告された化学修飾型DNAzymeの最新研究について紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Wang Y. et al., Nat. Chem., 13, 319–326(2021).<br>2) Taylor A. I. et al., Nat. Chem., 14, 1295–1305(2022).<br>3) Nguyen K. et al., Nat. Commun., 14, 2413(2023).<br>4) Borggräfe J. et al., Nature, 601, 144–149(2022).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 60 (1), 61-61, 2024

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580143069012480
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.60.1_61
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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