基礎研究からみたCBDの臨床応用の可能性

DOI
  • 野崎 千尋
    早稲田大学理工学術院国際理工学センターMajor in Bioscience

Abstract

<p>諸外国における大麻の条件付き解禁の流れを受けて、大麻の生理活性物質であるカンナビノイドおよび内因性カンナビノイド系が注目されている。中でもカンナビジオール(CBD)は向精神作用を持たず、かつ乳幼児のてんかん発作のような既知の薬物だけでは対応しきれない症例にも奏効したことから、同様に既知の医薬品では治療できない他の疾患や不定愁訴に対し効果があるのではないか、という点において大きな注目を浴びている。医薬品として(他国において)承認されているCBD製剤としてはエピディオレックスがあるが、それ以外にも「大麻由来の植物成分」という触れ込みのキャッチーさから、セルフケアを目的とした様々な製品が生産・販売されており、2023年度の世界市場はゆうに1兆円を超える巨大市場と化している。しかし市場が指数関数的に巨大化していく一方で、臨床研究および基礎研究は未だ十分であるとはいえず、十分なエビデンスがあるといえるのは先述したエピディオレックスの適応症となっている難治性てんかんおよび結節性硬化症くらいである。このため今も世界中で様々な臨床および基礎研究が盛んに進められており、その中で新たな適応症候補も数多く上がっている一方、思わぬ副作用も様々に報告されて来ている。本項ではそういった「基礎研究から新たに浮かび上がってきた様々な適応症候補および思わぬ副作用」を紹介すると同時に、「CBDという成分」を基礎研究や臨床応用に使う際に考慮すべき点も併せて論じたい。</p>

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