臨床試験のためのPatient-Reported Outcome(PRO)使用ガイダンスの紹介

DOI
  • 川口 崇
    東京薬科大学 医療実務薬学教室 東北大学大学院 医学統計学分野

抄録

<p>患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome: PRO)は、本邦でもその用語の普及、認識が高まっている。改訂に向けて作業が進んでいるICH E6(R3)には、PROやePROという用語が登場しており、米国FDAのPatient-Focused Drug DevelopmentのGuidance 4でも扱われており、臨床研究に関わる上ではその理解は必須のものになりつつある。臨床アウトカム評価(Clinical Outcome Assessment: COA)は、PRO以外にも臨床家評価アウトカム(Clinician-Reported Outcme: ClinRO)、観察者評価アウトカム(Observer-Reported Outcome: ObsRO)、パフォーマンスアウトカム(Performance Outcome: PerfO)に分類される。これらの中でもPROは先行してその方法論が整備されてきたもので、今後、ClinROなど他のCOAも同様に議論が拡大しているところである。</p><p>PROは研究以外でも日常診療での活用が期待されており、徐々に広まりつつある側面もある。しかし、PROの情報の多くは海外のもので日本語による情報は少なく、難解な方法論の部分は特に情報が多くはない。特に電磁的にPROを取得するelectronic PRO(ePRO)が同時に普及されているが、紙媒体のPROからePROへのMigrationについても長くされてきた議論が軽視されている状況も散見される。敷居を高くしすぎず、しかしながら平易に落とし込みすぎずに普及させていくことを議論する段階はそこまできているかもしれない。</p><p>2020年度より、臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業の「関連学会の取組と連携したPRO ガイドラインの作成」班(研究代表者:立命館大学 下妻 晃二郎先生)では、本邦において長くアウトカム研究をされてきた研究者を中心に、「臨床試験のためのPatient-Reported Outcome(PRO)使用ガイダンス」を作成した。総論パートではガイダンスの背景と目的を、各論パートではPRO/ePROに関して、研究者にとって有用な情報を広く取り扱っている。特に臨床でPROを活用する医療者にとっても、PROについて広く学べる内容であり、特に尺度の使用許諾などの側面は研究・日常診療に問わず重要となってくる。</p><p>本セッションでは、この「臨床試験のためのPatient-Reported Outcome(PRO)使用ガイダンス」を紹介・解説する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580217716099456
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_1-c-s03-1
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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