新規タウPETトレーサー[18F]SNFT-1の前臨床評価

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抄録

<p>【目的】タウ蛋白はアルツハイマー病(AD)の疾患修飾薬開発における標的の一つであり、その画像バイオマーカーは治療薬の薬効評価系として重要である。PET検査によって初期のタウ病変を正確に評価するためには、トレーサーの感度を向上させ、またオフターゲット結合を排除する必要がある。我々はタウPET検査の感度・特異度を向上させるため、新規タウPETトレーサー[18F]SNFT-1を開発した。[18F]SNFT-1を用いた臨床研究のための準備として、[18F]SNFT-1の結合特性、脳内動態、安全性を評価した。【方法】タウ蛋白およびその他の蛋白凝集体、モノアミン酸化酵素(MAO)などとの結合親和性を評価するため、in vitro結合アッセイを実施した。またヒト側頭葉脳切片を用いたオートラジオグラフィーを行い、[18F]SNFT-1のタウ病変への結合選択性と感度を他のタウトレーサーと比較した。脳内動態はマウス尾静脈より[18F]SNFT-1を投与することによって評価した。さらに安全性評価のため、マウスおよびラットにSNFT-1を単回投与し、その毒性を評価した。【結果・考察】SNFT-1はタウ蛋白線維を多く含むAD脳サンプルに対して高い結合親和性(Kd = 0.6 nM)を示したが、他の蛋白凝集体やMAOに対する親和性は低かった。またスクリーニングアッセイでも、様々な受容体、イオンチャネル、トランスポーターとの明らかな相互作用は確認されなかった。オートラジオグラフィー実験の結果から、[18F]SNFT-1は側頭葉のタウ病変に選択的に結合し、既存の他のタウトレーサーよりも高い感度が期待された。静脈内投与後、[18F]SNFT-1は速やかに脳内へ移行し、脱フッ素化は観察されなかった。マウスおよびラットにおける単回投与毒性試験の結果、投与後2週間の観察期間において、死亡は確認されず、また一般状態、体重、病理解剖検査にて薬剤投与に関連した異常は観察されなかった。【結論】[18F]SNFT-1はタウ蛋白を優れた感度で検出することが期待できるPETトレーサーであり、優れた脳内動態と安全性が確認された。</p>

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  • CRID
    1390580217716164608
  • DOI
    10.50993/jsptsuppl.44.0_2-c-p-j1
  • ISSN
    24365580
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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