当院の特定機能病院リハビリテーション病棟における入棟時サルコペニアの有無と関連因子の検討

DOI
  • 倉内 健生
    鹿児島大学病院 リハビリテーション部
  • 大濱 倫太郎
    鹿児島大学病院 医歯学総合研究科 リハビリテーション医学
  • 仮屋 有華
    鹿児島大学病院 医歯学総合研究科 リハビリテーション医学
  • 外薗 幸和
    鹿児島大学病院 医歯学総合研究科 リハビリテーション医学
  • 池田 恵子
    鹿児島大学病院 リハビリテーション部
  • 黒仁田 武洋
    鹿児島大学病院 リハビリテーション部
  • 小原 卓博
    鹿児島大学病院 リハビリテーション部
  • 木村 玲央
    鹿児島大学病院 リハビリテーション部
  • 宮良 広大
    九州看護福祉大学 看護福祉学部 リハビリテーション学科
  • 下堂薗 恵
    鹿児島大学病院 医歯学総合研究科 リハビリテーション医学

書誌事項

タイトル別名
  • O-170 測定・評価③

抄録

<p>【はじめに】 サルコペニアとは骨格筋量、筋力、身体機能が低下した状態であり、早期発見、適切な治療介入が推奨されている(Cruz-Jentoftら、2019)。身体機能障害を伴うサルコペニアは、海外のリハビリテーション病院では約50%(Sánchez-Rodríguezら、2016)、本邦の回復期リハビリテーション病棟(以下、リハ病棟)では53% (Yoshimuraら、2018)と示されている。一方、特定機能病院とは、一般医療機関では実施することが難しい手術や高度先進医療などの高度医療を、高度な医療機器、充実の施設の中で行うことができる病院を指す。特定機能病院リハ病棟に入院する患者層の背景として、基礎疾患の重複数、急性期治療の経過の違いなどが考えられ、サルコペニアの有無に関しても本邦回復期リハ病棟の報告とは異なる可能性がある。これらの背景を踏まえ、今回、当院の特定機能病院リハ病棟患者を対象に、入棟時サルコペニアの有無と関連因子について調査した結果を報告する。</p><p>【対象と方法】 対象は2022年4月から12月までに当院リハ病棟に入棟した患者63名。入棟時評価として、入院からリハ病棟入棟までの日数、チャールソン併存疾患指数(CCI)、SARC-F、InBodyS20を用いた骨格筋指数、握力、下腿周径、Short Physical Performance Battery(SPPB)、Functional Ambulation Categories(FAC)、Functional Independence Measure(FIM)を評価した。サルコペニアの判定基準にはAsian Working Group for Sarcopenia2019(以下、AWGS2019)を用いた。主要アウトカムはリハ病棟入棟時のサルコペニア発症の有無とした。今回、リハ病棟入棟時のサルコペニア有病率を算出した。また、サルコペニア発症の因子を明らかにするため、サルコペニアを発症した群(以下、サルコペニア群)とサルコペニアを発症しなかった群(以下、非サルコペニア群)の2群に分類した。統計学的解析は、従属変数をサルコペニアの有無とした単変量解析を行った。なお、本研究は人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針、ヘルシンキ宣言に則り、趣旨と内容、研究参加拒否の機会を公開するため、研究期間中はオプトアウト資料を院内のホームページ上に掲示した。また、鹿児島大学病院倫理審査委員会の承認(承認番号:220082)を得て実施した。</p><p>【結果】 対象者63名のうち、検査項目に欠損のあった3名は除外した。解析対象者は60名(男性28名、女性32名、平均年齢63.8±15.7歳)であった。疾患構成は、脳血管疾患36名、整形外科疾患21名、廃用症候群2名、心大血管1名であった。非サルコペニア群は55名、サルコペニア群は5名であり、リハ病棟入棟時のサルコペニア有病率は8.3%であった。両群間において、疾患、BMI、入院からリハ病棟入棟までの日数、骨格筋指数、握力、下腿周径、FIMで有意差を認めた。一方、CCIに有意差は認められなかった。</p><p>【考察】 今回、入棟時のサルコペニア有病率はYoshimuraら(2018)の53%、八木(2022)の76.6%と比べ低い値を示した。先行研究と比べ、平均年齢が比較的若く、疾患構成の違い、例えば当院では廃用症候群が少ない点などが影響しているものと考えられた。また、サルコペニア群は非サルコペニア群と比較して、入院からリハ病棟入棟までの日数が有意に長く、急性期治療の経過も影響していることも考えられた。一方、CCIについて両群の有意差に至らなかった要因としてサルコペニア群のサンプル数が少ないことが考えられた。今後も症例数を蓄積し、当院リハ病棟患者の入棟時のサルコペニア有病率、退院時の機能予後に影響を与える因子の検証を継続して取り組む必要がある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580239850551808
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2023.0_170
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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