ESBL(extended-spectrum β-lactamase)産生大腸菌による大腿部壊死性軟部組織感染症に対し迅速なデブリードメントを行い下肢切断を免れた 1 例

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抄録

過去に耐糖能異常を指摘されていた 64 歳女性。来院 1 週間前にバイク走行中に転倒し,直後は歩行可能であったが徐々に体動困難となり,発熱と意識レベル低下を伴い当院搬送となった。来院時より quick SOFA は 2 点と敗血症を疑う状態であり,両大腿部に左優位の仏痛の訴えがあった。視診上の皮膚変化や握雪感はないものの画像上では左大腿部にガス像を認め,皮膚軟部組織感染症が疑われた。また,血液検査でコントロール不良の糖尿病が判明した。来院から 14 時間後の造影 CT で対側へ炎症及びガス像の進展があり,緊急デブリードマン手術を施行し,培養から ESBL 産生大腸菌が検出された。インスリン治療を並行しながら合計三度のデブリードマン手術を行い,状態は安定後第 40 病日にリハビリ目的に後方支援病院へ転院となった。基礎疾患などの患者背景を把握し早期の診断と適切な治療を行い,下肢切断を免れ良好な予後を得られた 1 例を経験した。

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