育児を左右する妊娠中・分娩時の胎児モニタリング

DOI
  • 馬場 一憲
    埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター

抄録

<p> 分娩中は陣痛という繰り返される子宮の強い収縮によって胎児への酸素供給が障害され、脳が不可逆的な損傷を受けて脳性麻痺や精神発達遅滞を引き起こすことがある。そのため、分娩を無事に乗り切れるかどうかによって出生後の育児が大きく変わってくる。 低酸素による損傷を受けずに出生させるには、胎児の血中酸素を無侵襲的にリアルタイムに連続監視して低酸素状態が進行するようなら緊急帝王切開や鉗子などにより速やかに出生させればよいが、現在、そのような監視方法はない。そのため、分娩監視装置で得られる胎児心拍数陣痛図(CTG:cardiotocogram)から間接的に胎児血中酸素の状態を推定することが一般的である。また、脳が損傷を受けるのは分娩時だけでなく分娩開始前の妊娠中にも起こりうることが分かってきており、ハイリスクのケースでは分娩監視装置を妊娠中に使用することも広く行われている。 しかし、ローリスクでも胎児が低酸素状態に陥ることがあり、ローリスクでも自宅や職場等で簡便にCTGが得られる装置が必要である。また、CTGは正常と緊急性の高い異常とが容易に判断できるパターンだけでなく、大半は中間のパターンであり判断に迷うことも少なくない。そこで期待されるのが、AI技術を用いた自動判別である。 胎児の血中酸素のモニタリングを考えた場合、究極的には無侵襲的にリアルタイムに連続して”直接”血中酸素をモニタリングできる装置の開発が望まれる。</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual61 (Abstract), 155_2-155_2, 2023

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580295543930368
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.155_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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