<論説>戦国期臨済宗妙心寺派における出世について

書誌事項

タイトル別名
  • <Article>A Consideration of Promotion to the Abbacy of the Myōshin-ji Branch of the Rinzai Zen School during the Sengoku Period
  • 戦国期臨済宗妙心寺派における出世について
  • センゴクキ リンザイシュウ ミョウシンジハ ニ オケル シュッセ ニ ツイテ

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抄録

臨済宗妙心寺派において、本寺など格式高い寺院の住持となる出世について、意義や役割を考察した。地方寺院に残る禅僧位・住持職関係文書の分類・出現時期・機能を検討し、これらの整備は妙心寺派の地方展開の進展に連動すると評価した。出世の費用は武家が積極的に支援しており、背景には富の象徴や経済的誇示に限らず「高僧」を抱える領主像の演出が強く求められる場合もあった。出世実現には縁故ある禅僧を通じたネットワークも大いに貢献した。地方の拠点寺院の出世でも基本は妙心寺本寺と同様だが、拠点寺院側の働きかけや住持の直接入寺が重視される。一方、住持となる禅僧は地方情勢を住持職以上に優先しうるため、両者に方向性の違いが生じる場合もあった。このような一部矛盾もあるが、総じて出世は一定程度完成されたシステムとして地方へも浸透し、本末・法系関係や人的・経済的基盤の維持・強化に寄与し、妙心寺派の「宗派化」「教団化」を支えた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 106 (4), 495-533, 2023-07-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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