手根管症候群患者の感覚症状は非典型的であることが多い

  • 奈良 典子
    横浜市立大学附属市民総合医療センター 総合診療科 地城医療機能推進機構 横浜保土ヶ谷中央病院 内科
  • 長谷川 修
    横浜市立大学附属市民総合医療センター 総合診療科

書誌事項

タイトル別名
  • テ コンカン ショウコウグン カンジャ ノ カンカク ショウジョウ ワ ヒテンケイテキ デ アル コト ガ オオイ

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抄録

手根管症候群は,典型的には橈側 3 指半の手掌側の感覚障害と,母指球筋外側の萎縮を呈する。一方外来診療では,手根管症候群を疑う病歴があっても,症状が非典型的である場合をしばしば経験する。今回,神経伝導検査を含めて手根管症候群と診断し,肘部管症候群を除外した 12 名 16 手において,その臨床症状を検討した。その結果,しびれの範囲が橈側 4 指に限定されていたのが 7 手で,第 5 指を含む指全体が 7 手であった。またしびれが遠位指節間(Distal interphalangeal ; DIP)関節より遠位のみに存在していたものが 8 手,前腕のしびれを伴ったものが 3 手あった。Phalen徴候,Tinel様徴候ともに陰性となる例が 6 手であった。これら典型的所見からの逸脱は,性別,病悩期間,神経障害の程度を問わずランダムに出現した。手根管症候群患者で,しびれの範囲が非典型的な症例が半数以上を占めたことから,病歴で手根管症候群を疑った場合には,神経伝導検査実施の閾値を低く設定する必要がある。

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