肝胆膵疾患領域における医療訴訟の分析

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  • カンタンスイシッカン リョウイキ ニ オケル イリョウ ソショウ ノ ブンセキ

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抄録

肝胆膵疾患領域の裁判例(85 例)の分析を行ったところ,死亡事例が多く紛争化リスクが高いことが推測され,過失認容率も 60 %と高く,改めて肝胆膵疾患領域における医療事故防止の重要性が確認された。 疾患別にみると,肝臓癌,急性膵炎の訴訟の数が多く敗訴率も高いことが確認され,小児事例については核黄疸事例が殆どで,敗訴率も高かった。 過失の類型という点では,説明義務違反や診断上の過失の他,検査義務違反や術後管理上の過失に関する敗訴事例が多く,検査義務においては,ルーティーン検査の実施における油断が過失につながる例が多く,術後管理においては,ERCPの合併症に関する対策の甘さが原因である例が多かった。 また,肝臓癌スクリーニング検査や核黄疸に関する裁判例は,最高裁判決が出されて以降その数が大きく減少していることから,医療裁判例の検討が医療事故の防止に有益であることが示唆された。

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