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- 上田 遥
- 名古屋大学環境学研究科 (現所属:東京大学東洋文化研究所)
書誌事項
- タイトル別名
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- School Lunch Programme in Taiwan: History, Promotion Systems and Challenges in Compressed Food Modernity
- ─歴史と推進体制,食の圧縮近代における課題─
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説明
<p>【目的】 台湾の学校給食を,特に献立作成と食材調達に着目して包括的に明らかにする。</p><p>【方法】 政府資料の文献調査および給食団体と栄養士4名にインタビュー調査を実施した。</p><p>【結果】 台湾の学校給食は,高い普及率を達成し,近年には品質・教育面の改善が進み,少なくともアジア諸国の中では比較的発達した制度の一つとなっている。2013年の学校健康法改訂で栄養基準が導入され,2017年開始の「四章1Q」政策のもとで付加価値のある農産物(地場産,有機,生産履歴など)の給食導入も進められてきた。本稿ではまた学校給食現場における献立作成と食材調達の具体的プロセスも報告した。台湾におけるこうした学校給食の制度的発達は,近年勃発する食品安全に関する事件,栄養問題,フードシステムのグローバル化など食生活・食環境の急激な近代化(食の圧縮近代化)に対応するものであった。しかしその変化の急速さゆえに,給食費用とコストの分担,専門性の確保など,いくつか重要な問題が解決されずにいる。</p><p>【結論】 こうした国内的課題はあるが,付加価値のある農産物導入や給食無料化をめぐる台湾の経験は,日本を含むその他の国々にも有用な示唆を与えるものである。</p>
収録刊行物
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- 栄養学雑誌
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栄養学雑誌 81 (6), 310-318, 2023-12-01
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会