総合診療医に役立つ神経症状の診かた

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  • 長谷川 修
    横浜市立大学附属市民総合医療センター 総合診療科

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抄録

1.バイタルサインの重要性を知る。脳病変の有無による意識障害時の血圧の違い,脳ヘルニアの進行に伴うバイタルサインの変化を理解する。 2.身体診察は最小限に。ADLの聴取で代用できる部分が多い。なぜ, ADLが低下したのかを考える。特異度の高い少数項目を大切に診察する 3. ADLすべてが神経症候を表す。ADLは普遍的,具体的で,自然な負荷試験となっている。神経学的所見の代わりに,日常生活活動,コミュニケーション能力,問題行動を明示するだけでもかなりの情報が得られる。 4.病態生理と解剖の両面から診断に到達する。症状の起始経過から病態生理を,出現している症状から解剖を頭に描く。どこにどんな病変があるかが診断である。 5.器質病変と機能病変に分ける。器質病変は,局在を含む固定症状をもち,検査で確認される。機能病変は症状が出没し,検査異常を捉えにくい。不適切な生活習慣を排除し,社会適応を目標とする。患者の不安を除去することが大切である。 6.脳全般症状と局在症状に分けて考える。全般虚血による失神と局所虚血によるTIAとは異なる。意識障害はfocal signの有無で分けると理解しやすい。 7.神経症状の 1 / 3 にはメンタル面が関与している。検査地獄に陥らないために,症状が出現する機序を患者本人が理解できるように説明しよう。

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