中咽頭癌放射線治療による粘膜炎との鑑別を要したアセトアミノフェンによる多形紅斑重症型の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Erythema multiforme induced by acetaminophen requiring differentiation from mucositis caused by radiotherapy for oropharyngeal cancer: A case report

この論文をさがす

抄録

高齢者はポリファーマシーの状態にあることが多く,薬物有害事象をきたしやすい。放射線性の粘膜炎を背景に粘膜疹を伴う薬疹をきたし診断に苦慮した症例を経験したので報告する。75歳男性。維持透析中で近医より多数の内服薬を処方されポリファーマシーの状態にあった。p16陽性中咽頭癌cT3N0M0に対して放射線治療を完遂直後から発熱,粘膜疹の増悪,皮疹がみられた。鑑別としてStevens-Johnson症候群を念頭に皮膚生検を提出し,プレドニゾロンによる加療を開始した。速やかに症状は改善し,後日多形紅斑重症型と病理診断された。臨床経過からはアセトアミノフェンが被疑薬と考えられたが,薬剤リンパ球刺激試験は陰性であった。高齢者を診療する際にはポリファーマシーに付随する重症薬疹などの薬物有害事象のリスクを念頭に置き,特に放射線治療の際には放射線性の粘膜炎と粘膜疹を伴う重症薬疹との鑑別に注意を要する。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 49 (4), 312-318, 2023

    日本頭頸部癌学会

参考文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ