神経発達症児に対する医療資源の配分に関する一般小児科医と専門医師の認識―厚生労働省調査研究から

DOI
  • 鈴木 浩太
    国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部 四天王寺大学教育学部
  • 加賀 佳美
    国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部 山梨大学医学部小児科
  • 稲垣 真澄
    国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部 鳥取県立鳥取療育園

書誌事項

タイトル別名
  • General pediatricians’ and professionals’ perspectives on medical resource for children with neurodevelopmental disorders

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抄録

<p> 【目的】神経発達症児に関わる専門医師が不足し,初診待機期間の長期化が問題になっている.本研究では,一般小児科医と神経発達症専門医師(専門医師)が感じている現状と理想の医療体制を明らかにし,適切な医療資源の配分や初診待機の問題について検討することを目的とした.【方法】一般小児科医と専門医師を対象にして,オンライン調査を実施し,808名から回答を得た.医療資源の配分の認識について,一般小児科医と専門医師間,および,現状と理想の医療体制間の違いを検討した.【結果】ADHDおよび自閉スペクトラム症(ASD)に関して,一般小児科医と専門医師の両方で,介入不要な症例,薬物療法の継続のみの症例,心理社会的なサービスが必要な症例について,専門外来で継続的に支援すると回答した割合が,理想よりも現状の医療体制で有意に高かった.また,専門医師で,薬物療法の継続のみの症例について,一般小児科および併診で継続的に支援すると回答した割合が,理想よりも現状の医療体制で有意に低かった.【結論】現状では,神経発達症児の継続的な医療の負担が専門外来に集中していることが考えられた.専門医師は,薬物の処方等を一般小児科医で行ってほしいと望んでいることが示唆された.したがって,一般小児科で実施可能な業務は,一般小児科で行われることが必要である.このことは,適切な医療資源の配分につながり,初診待機の問題を軽減する要因となると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 56 (1), 39-46, 2024

    一般社団法人 日本小児神経学会

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