8歳で睡眠関連呼吸障害を認めた脊髄髄膜瘤の1例

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  • Development of sleep-related breathing disorders at 8 years of age in a myelomeningocele patient

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抄録

<p> 脊髄髄膜瘤(myelomeningocele;MMC)は二分脊椎の最重症型であり,症状はMMCの存在部位,水頭症やキアリ奇形II型の程度などにより多彩である.呼吸合併症は小児期の生命予後にとって重要である.MMCでは睡眠関連呼吸障害の合併を認め,近年その有病率が高いことが報告されている.症例は胸部から腰仙部にMMCを認めた8歳女児.6歳と7歳時にキアリ奇形II型の治療のため脳外科手術が行われた.睡眠関連呼吸障害の認識が乏しく,定期的な呼吸機能評価を行っていなかった.8歳の感冒罹患時に排痰困難による窒息症状やSpO2低下を認め,呼吸障害合併の可能性を考慮し呼吸機能評価を行った.問診および質問紙での評価では睡眠関連呼吸障害の存在を把握できなかった.簡易モニターで評価を行い,3% oxygen desaturaion index(ODI)が70.9および無呼吸低呼吸指数が12で,無呼吸時の胸郭運動が消失していたことより中枢性睡眠時無呼吸症候群と判断した.非侵襲的陽圧換気療法を導入し,3%ODIが1および無呼吸低呼吸指数が1へと改善した.その後,呼吸状態の悪化は認めていない.MMCの健康管理において,定期的な睡眠関連呼吸障害の評価が重要である.海外では睡眠関連呼吸障害を含めた包括的な二分脊椎ガイドラインがあるが,本邦には存在しない.適切な健康管理を行うためにも,本邦でのMMCに対する包括的な診療ガイドラインが必要である.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 56 (1), 47-52, 2024

    一般社団法人 日本小児神経学会

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