ケモカイン受容体を介した神経細胞内オートファジーの新たな調節機構

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抄録

ケモカインは白血球の遊走・活性化作用を有する塩基性タンパク質の総称であり,それぞれ同定された19種類のケモカイン受容体を介して,ウイルス感染や免疫応答,造血など様々な生理機能に寄与している.その中で,C-C motif chemokine receptor(CCR)5は主にマクロファージやT細胞などの免疫細胞および神経細胞に発現しており,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染時にコレセプターとして利用されることが知られている.加えて最近,HIV感染による脳炎を併発したエイズ患者の死後脳において,神経細胞でのオートファジーの増加が確認された.したがって,CCR5は神経細胞内の異物除去に関わっていることが示唆された.一方で,神経細胞はミクログリアとサイトカインや栄養因子等を介し,神経細胞の突起伸長やミクログリアの貪食能等を双方向的に調節するが,神経-ミクログリア相互作用が神経細胞内のオートファジー機構にどのように寄与しているかはこれまで不明であった.そこで本稿では,ミクログリアから遊離されるケモカインによるCCR5を介した神経細胞内におけるオートファジー調節機構について紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Oppermann M., Cell Signal., 16, 1201-1210(2004).<br>2) Berger E. A. et al., Annu. Rev. Immunol., 17, 657–700(1999).<br>3) Zhou D. et al., J. Infect. Dis., 203, 1647-1657(2011).<br>4) Festa B. P. et al., Neuron, 111, 1-17(2023).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 60 (2), 152-152, 2024

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580472188347136
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.60.2_152
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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