成人急性中耳炎における肺炎球菌の薬剤耐性動向と同居小児の集団保育状況の関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship Between the Detection Rate of <I>Streptococcus pneumoniae</I> in Adults with Acute Otitis Media and Presence of a Cohabitating Child Attending Group Nursery Care
  • ―Comparison Between Before and After Introduction of the Pneumococcal Conjugate Vaccine―
  • ―肺炎球菌結合型ワクチン導入前後の比較―

抄録

<p> 肺炎球菌結合型ワクチン (pneumococcal conjugate vaccine : PCV) 導入後に, 小児 Streptococcus pneumoniae 感染症における薬剤耐性肺炎球菌 (drug-resistant S. pneumoniae : DRSP) の検出頻度が低下したことが報告されている. これに伴う成人急性中耳炎 (成人 AOM) における DRSP の分離動向の変化について検討した. 対象は鼓膜切開術により得られた中耳貯留液から S. pneumoniae が検出された成人 AOM のうち, PCV 導入前の2000~2009年 (Ⅰ期) 135名, PCV 導入後3年を経過した2013~2022年 (Ⅱ期) 75名である. DRSP 検出頻度に関与する当院および周辺の医療機関の上気道感染症に対する第1選択薬は, Ⅰ期, Ⅱ期を通じてぺニシリン系抗菌薬 (PCs) であった. その結果 PCV 導入後に DRSP 検出頻度が有意に低下し, アモキシシリンの薬剤感受性が改善した. PCV 導入前には集団保育児との同居の有無別薬剤感受性, 同居集団保育児の年齢層別薬剤感受性 (2歳未満がいる症例といない症例) の検討で PCs の薬剤感受性に有意差が見られたが, 導入後に認めなくなった. PCV 導入後に成人 AOM 症例数が減少し, S. pneumoniae による鼓膜切開術を要した成人 AOM 症例の占める割合が有意に低下した. PCV の集団免疫効果が示唆されたが, 今後は PCV がカバーする血清型, カバーしない血清型と, 成人 AOM から検出される S. pneumoniae の血清型の関連を検討する必要がある.</p>

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参考文献 (10)*注記

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