書誌事項
- タイトル別名
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- Successful cord blood transplantation for refractory gamma-delta hepatosplenic T-cell lymphoma developed during treatment of Crohn's disease
抄録
<p>症例21歳男性。Crohn病のためinfliximab,azathioprineによる治療を受けていたが6年後,発熱,LDH 2,473 U/l,血小板低下,肝脾腫を認めた。骨髄生検と肝生検でCD4,CD56,TCRγδ陽性,CD8陰性の異型細胞を認め,肝脾T細胞リンパ腫(hepatosplenic T-cell lymphoma, HSTCL)と診断した。CHOP療法,dose-adjusted-EPOCH療法後に非寛解状態で骨髄破壊的前処置による臍帯血移植を行った。退院前造影CTで肝脾腫縮小,LDH 165 U/l,血小板18万/µlと正常化を認めday117に退院した。HSTCLは脾臓内のVδ1遺伝子変異を伴う未熟なγδT細胞をカウンターパートとする腫瘍であり,発症には免疫不全状態の関与が示唆されており予後は不良である。Azathioprineで治療された炎症性腸疾患患者はリンパ増殖性疾患リスクが増加することが知られており,本症例もCrohn病に対する免疫抑制剤の使用により腸管上皮に存在するγδ細胞が悪性化した可能性がある。化学療法抵抗性であったが早期の臍帯血移植で寛解を達成し,長期予後を期待している。</p>
収録刊行物
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- 臨床血液
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臨床血液 65 (1), 41-46, 2024
一般社団法人 日本血液学会