神経線維腫症I型の上気道狭窄に対し輪状軟骨切開術を行った小児例

  • 嵐 健一朗
    慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科学教室 東京都済生会中央病院 耳鼻咽喉科
  • 富里 周太
    慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科学教室
  • 甲能 武幸
    慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科学教室
  • 小澤 宏之
    慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • A Pediatric Case of Crico-Tracheostomy for Upper Airway Stricture Due to Neurofibromatosis Type I

抄録

<p>輪状軟骨切開術が鹿野らにより報告されて以降,多くの成人例で本手技の症例報告が行われているが,小児例での報告は稀である。今回われわれは神経線維腫症I型に伴う頸部巨大腫瘤により気管切開術が困難であった小児症例に対し輪状軟骨切開術を行い,良好な長期経過を得られた症例を経験したので報告する。症例は9歳の男児で,神経線維腫症I型のため,頸部および頸椎に多発する腫瘍を認めた。腫瘍による頸椎圧迫骨折および環軸椎亜脱臼に対し頸椎の固定手術が必要であったが,頸部腫瘍の圧排による咽頭腔の狭小化と気道狭窄が生じていたことから外科的気道確保を先行して行う方針となった。気管は腫瘤による圧排で左側に偏倚し,頸椎の後弯も伴って深部に走行していたことから,通常の気管切開は難しく,全身麻酔下での輪状軟骨切開術を施行した。小児の外科的気道確保後は成人と比較し気管内の肉芽形成や狭窄が起こりやすいことが知られているが,本症例では術後14カ月の時点で大きな合併症やカニューレトラブルもなく,良好な経過を辿っている。しかし喉頭の成長や発声機能の影響についてはさらに長期での経過を追っていく必要があると考えられる。</p>

収録刊行物

参考文献 (10)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ