歯周基本治療におけるモチベーションスケールスコアと口腔状態の関連性

  • 佐久間 愛
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野 麻生歯科クリニック
  • 福井 誠
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野
  • 麻生 幸男
    麻生歯科クリニック
  • 日野出 大輔
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Association between Motivation Scale Score and Oral Condition on Receiving Basic Periodontal Therapy

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抄録

<p> 本研究の目的は,日本の成人に対するモチベーションスケールスコア(MSS)の有用性を評価すること,および歯周基本治療における口腔状態に関連するモチベーションを,MSSを用いて検討することである.</p><p> 対象者は静岡市の歯科診療所に来院した20~64歳の初診歯周病患者221名である.MSSは患者のモチベーション評価尺度に関する14項目の質問紙を用いて算出し,MSSの主成分分析を行った.また,ベースライン時および歯周基本治療後の MSS と口腔保健行動項目,歯周状態[Bleeding on probing (BOP) 率,Periodontal inflamed surface area (PISA)]および口腔衛生状態[O’LearyのPlaque control record (PCR)]との関係を評価した.</p><p> MSS は信頼性と妥当性の点からその有用性が示され,5つの要素に分類された.ベースライン時BOP10%未満の者はBOP10%以上の者と比較してMSSおよびMSS-F1(口腔衛生行動)が有意に高かった.また,年1回の歯科健診受診,歯間部清掃用具の使用の者はMSSおよびMSS-F1が有意に高く,非喫煙者でMSS-F1が有意に高かった.二項ロジスティック回帰分析において,ベースライン時BOP10%以上と統計学的に有意な関連を認めた因子は歯間部清掃用具の使用であった.一方,歯周基本治療後,喫煙状況を除くすべての項目で良好な改善が認められた.このうち,歯周基本治療後のPCR20%未満の者はMSSが有意に高く,歯間部清掃用具の使用および非喫煙者においてMSS-F1が有意に高かった.</p><p> 本研究で用いたMSSは有用であり,ベースライン時の歯周組織状態および口腔保健行動と関連した.歯周基本治療介入後,MSS およびMSS-F1の値は有意に上昇した.歯間部清掃用具の使用は良好な歯周組織状態と関連し,MSSの高値と関連した.それ故,高いモチベーションが,歯間部清掃用具の使用によって口腔保健行動の改善に対する患者のコンプライアンスに影響を与え,歯周病患者の良好な口腔状態を導いた可能性がある.</p>

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