縦隔腫瘍切除におけるTrap-door法の有効性と安全性

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  • Efficacy and Safety of Trap-Door Procedure in Mediastinal Tumor Resection
  • ジュウカク シュヨウ セツジョ ニ オケル Trap-doorホウ ノ ユウコウセイ ト アンゼンセイ

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抄録

<p>【目的】胸郭出口の腫瘍切除では,血管,神経,筋肉,骨など注意すべき構造が集中するため,安全なアプローチが求められる.Trap-door法は,Hemi-clamshell法とも呼ばれ,同領域へのアプローチ方法として報告されている.しかしそれ以外にも縦隔血管との剥離に注意を要する症例などにも応用可能である.小児での報告は非常に少なく,当院での経験から本術式の有効性と安全性を報告する.</p><p>【方法】2012~2023年の11年間に当院でTrap-door法による腫瘍切除を行った5症例を対象とした.診療録を後方視的に検討した.当院でのTrap-door法は,胸骨縦切開から肋間開胸へと繋げるL字切開(または逆L字)を行い,片側の胸壁をPDS糸で牽引挙上して視野を得る.</p><p>【結果】手術時年齢は中央値13(3~16)歳であった.5例の内訳は,胸郭出口を含む腫瘍が3例(線維形成性小円形細胞腫1例,神経芽腫1例,混合性胚細胞腫瘍1例),縦隔血管との剥離に注意を要する1例(絨毛癌1例),開心術と縦隔腫瘍,肺葉切除の同時施行が必要であった1例(BCOR関連肉腫1例)であった.1例で神経モニタリングを併用した.手術時間は中央値247(193~497)分,出血量は中央値610(12~1,186)ml.全例で腫瘍の完全切除を完遂できた.合併症は1例で一過性横隔神経麻痺を認めたが,上腕神経障害,ホルネル症候群,創部感染は生じていない.</p><p>【結論】Trap-door法は胸郭出口の腫瘍切除に際し,良好な視野が得られ安全なアプローチである.また,その特性から縦隔血管との剥離が必要な症例などへも応用が可能である.</p>

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