睡眠中の心理現象と脳波像

  • 福田 一彦
    江戸川大学 社会学部 人間心理学科 江戸川大学睡眠研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Psychological Phenomena During Sleep and EEG Images
  • スイミン チュウ ノ シンリ ゲンショウ ト ノウハゾウ

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抄録

睡眠に関わって生じる心理体験についてそれらの生理学的背景とともに議論した。夢は古来より様々な形でヒトの生活に影響を与えて来たが、近代以降に最も影響力の有ったのは精神分析学の登場だろう。しかし、精神分析学の背景理論は科学的に実証されたものとは言い難く、現在の科学的な夢研究に対して強いバイアスを生じさせている事も否定できない。1953 年にREM 睡眠が発見され夢見という心理体験と密接な関連があることが明らかにされたが、夢体験とレム睡眠の関係については完全な合意が形成されているわけではない。夢体験はREM 睡眠でのみ起こるのかという点について過去の研究を概観した。これまで夢研究は必ずしも正当な評価を受けてきたとは言えないが、最近になって意識の座を探る一つの手段として夢の研究が注目されている。通常の夢以外の心理体験として明晰夢と金縛り(睡眠麻痺)について、その生理学的背景の類似について議論した。最後に、睡眠を人為的に操作して明晰夢を誘発することが安易に行われている事に対して批判的に検証を行った。

収録刊行物

  • 睡眠と環境

    睡眠と環境 17 (2), 1-8, 2023-12-31

    一般社団法人 日本睡眠環境学会

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