政治不信は民主主義をどう変えるのか

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タイトル別名
  • 社会に潜むネガティブな感情をつかむ

抄録

NIRA総合研究開発機構では日本人の価値観、およびそれが政府への信頼にいかなる影響を及ぼすかについて調査してきた。日本では自由と平等では自由を選択する人が多いが、それは自己と他者が等しく一定の社会規範やルールを遵守することを前提にした自由であった。そして、政府の公正さに対し強い関心を持ち、サービスが公正に配分されないことで政府への不満や不信を抱きやすい。(宇野論考)さらに政府への信頼は、社会的・経済的に不安定な立場にある人が低く、特に階層意識との関係が顕著である。階層意識の低さは、年収のほか「働き盛り」とされてきた年代で無職であることや、配偶者がいないことによっても影響を受ける。現在の政治家に信頼を置けず、政府のあり方にも不信感を抱く人たちは、直接的な強いリーダーシップを望むことになる。(重田論考)このような政府への不信は、ポピュリズムの温床になり得る。欧米と比べると日本の状況はマイルドだが、破壊主義ないし「多数派の専制」に陥らないためにも、レファレンスポイントとなる情報を多く提供・発信し、相対化してゆくことが求められる。(渡辺論考)日本人の自由と平等の価値観に合致した政策を展開し、より良い政治過程や政策過程を実現するためには、基本的な信頼の下に政策について議論し判断できる社会をつくり上げていくことが重要である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580704332220672
  • DOI
    10.50878/niraopinion.74
  • ISSN
    24362212
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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