胃管挿入時に乳歯の食道内誤飲が偶発的に引き起こされた18トリソミーの一例

DOI
  • 本間 高志
    秋田県立医療療育センター
  • 星 久美
    東北大学病院障がい者歯科治療部
  • 高橋 温
    秋田県立医療療育センター 東北大学病院障がい者歯科治療部

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Accidental Esophageal Ingestion of a Deciduous Tooth Caused by Gastric Tube Insertion in a Patient with Trisomy 18

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抄録

<p>18トリソミーは常染色体異常症候群の一つで約6,000人に1人の頻度でみられる.胎児期から重度の胎児発育不全を呈し,知的能力障害と多臓器にわたる合併症を有する.以前は1年生存率が5~10%とされていたが,近年は大幅に改善しつつある.今回われわれは18トリソミー患児の胃管挿入時における乳歯誤飲,およびその摘出を経験したので報告する.患児は12歳2カ月の女児.出生時に18トリソミーと診断され,経鼻胃管および経鼻経腸栄養チューブによる経管栄養により栄養管理されている超重症心身障害児である.経鼻胃管のトラブルがあり,その再挿入を行った際に,脱落乳歯と思われる異物が食道下部に誤飲されていることが判明した.当初は自然排出を期待して数日間経過観察を行ったが,胸腹部エックス線写真でのフォローアップにて異物の位置に変化を認めなかったため,誤飲時より4日目に透視下にて経口的に摘出を行った.本症例では消化管の変形が進行したため,経鼻胃管の挿入が困難であり,挿入操作時の刺激により乳歯が脱落し誤飲が引き起こされたと考えられたが,誤飲後早期に発見されたため適切な対応を取ることができた.本症例のようにみずから症状を訴えることができない超重症心身障害児・者で口腔内に関連する医療的ケアなどの操作が日常的である場合,通常では起こるとは考えにくい歯や修復物などの脱落が起こる可能性があり,さらにその事実は認知されるまで長時間を要する場合もあることを視野に入れて,より包括的な口腔管理が必要と考えられた.</p>

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