プラスミノゲン欠損症女児の歯肉にみられた難治性偽膜病変

DOI
  • 安藤 早礎
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
  • 秋山 茂久
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部
  • 山根 尚弥
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部 あかしユニバーサル歯科診療所
  • 村上 旬平
    大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部

書誌事項

タイトル別名
  • Refractory Pseudomembranous Lesions on the Gums of a Young Patient with Plasminogen Deficiency

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抄録

<p>プラスミノゲンはプラスミノゲン活性因子により活性化されプラスミンとなり,フィブリンの分解,創傷治癒および組織形成に関与する.プラスミノゲン欠損症はⅠ型プラスミノゲン欠損症(低プラスミノゲン血症)と,Ⅱ型プラスミノゲン欠損症(プラスミノゲン異常症)に分類されるが,臨床症状を認めるのは主にⅠ型である.Ⅰ型プラスミノゲン欠損症は創傷治癒過程においてフィブリンを分解できず,粘膜に木質性の偽膜を形成する.最も一般的な臨床症状はリグニアス結膜炎で,結膜に偽膜を反復形成する.結膜以外には中耳,口腔粘膜,咽頭,十二指腸,気道および女性生殖器にも偽膜病変を形成し,先天性閉塞性水頭症を呈する場合もある.今回われわれは,症状からⅠ型だと推定されるプラスミノゲン欠損症患児の口腔内に偽膜病変を認めた症例を経験したので報告する.</p><p>症例は4歳の女児.障害名はDandy-Walker症候群,水頭症,てんかん,知的能力障害で,プラスミノゲン欠損症の症状としてリグニアス結膜炎および歯肉への偽膜形成を認めた.歯肉の偽膜に対して軟膏の塗布,抗生剤処方,洗浄,Er:YAGレーザー照射およびプラーク除去を行った.偽膜は縮小傾向を示すものもあったが,完全に消失することはなかった.軽度の外傷,感染および炎症が偽膜を形成する原因となるため,口腔衛生状態を悪化させないために,今後も患児の歯科適応に合わせた口腔衛生管理を継続していく必要がある.</p>

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