色調適合性を有するシングルシェードコンポジットレジンの色調安定性

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Color Stability of Single-shade Composite Resins with Color-matching Ability

説明

<p> 目的:近年,シェードテイキングの簡略化を目的として,シングルシェードで広い範囲の色調に適合可能なコンポジットレジン(CR)が開発された.CRの問題点の一つとして,着色性の飲食物や唾液などに由来する変色が挙げられるが,色調適合性を有するシングルシェードCRの色調安定性に関する報告は少ない.本研究では,色調適合性を有するシングルシェードCRについて歯ブラシ摩耗試験および浸漬試験を行い,その色調安定性に関して従来のCRとの比較・検討を行った.</p><p> 材料と方法:シングルシェードCRとして,Omnichroma(トクヤマデンタル,OMC),Omnichroma Flow(トクヤマデンタル,OMF),Beautifil Unishade(松風,BUN),Clearfil Majesty ES Flow Universal U(クラレノリタケデンタル,CLM),Clearfil Majesty ES Flow Universal UD(クラレノリタケデンタル,CLD)およびClearfil Majesty ES Flow Universal UW(クラレノリタケデンタル,CLW)の計6種類と,対照群として従来のCRである,Estelite Σ Quick(トクヤマデンタル,EST),Estelite Universal Flow(トクヤマデンタル,ESF),Beautifil Ⅱ(松風,BFⅡ),Beatifil Flow Plus X(松風,BFF),Clearfil Majesty ES-2(クラレノリタケデンタル,CMP)およびClearfil Majesty ES Flow(クラレノリタケデンタル,CMF)の計6種類を実験材料とした.これら計12種類のCRについて,摩耗群と未摩耗群をそれぞれ作製し,コーヒー液および蒸留水に28日間浸漬を行うことで色差ΔE*abを算出した.加えて,別規格の試料を作製し,蒸留水に28日間浸漬を行うことで吸水率および溶解率を算出した.</p><p> 成績:コーヒー液浸漬群のなかで,S-PRGフィラー含有のBUNは28日間の浸漬で未摩耗群および摩耗群ともに他のCRと比較して有意に高いΔE*abの値を示した(p<0.05).また,コーヒー液浸漬群における各CRの未摩耗群と摩耗群のΔE*abを比較した場合,浸漬28日目ではCLM,CLW,EST,ESF,BFFおよびCMPの未摩耗群が摩耗群と比較して有意に高い値を示した(p<0.05).一方で,蒸留水浸漬群は,すべてのCR間および各CRの未摩耗群と摩耗群間において,ΔE*abの値は有意な差を示さなかった(p>0.05).吸水率は,BFFが他のCRと比較して有意に高い値を示し(p<0.05),無機質フィラー含有量との間に負の相関を認めた.溶解率は,CMPが最も高い値を示し,CLM,CLD,CLWおよびCMFに対して有意な差を認めたが(p<0.05),無機質フィラー含有量との間に相関を示さなかった.</p><p> 結論:S-PRGフィラーを含有するBUNは,コーヒー液浸漬によってΔE*abが顕著に高い値を示したことから,シングルシェードCRの色調安定性はレジン成分のみならず,フィラーの特性による影響を受けることが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 日本歯科保存学雑誌

    日本歯科保存学雑誌 67 (1), 29-39, 2024-02-29

    特定非営利活動法人 日本歯科保存学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580793828972672
  • DOI
    10.11471/shikahozon.67.29
  • ISSN
    21880808
    03872343
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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