トランス脂肪酸が胎児発育その他に及ぼす影響について

説明

<p> はじめに</p><p> トランス脂肪酸は,元来,自然界で微量に生成されてきたものであるが,近年,植物性油脂を高温で加熱する過程での副産物として多量に生成され,さまざまな食品に含まれるようになった。トランス型の脂肪酸は分子形状が直線に近い形となり,物理化学的性質もシス型の脂肪酸とは異なる。細胞膜に含まれる割合が増せば,細胞膜を硬化させその機能に影響を与えると推測される1)。</p><p> 内閣府食品安全委員会の2007年のファクトシート2)では,油脂類のほか,それらを原材料とするビスケット・ケーキ類に多く,1989年から5年間の食品を対象とした合衆国USDAからの報告ではハンバーガー・ソーセージなどの加工肉類にも多く含まれていた。近年の食生活の欧米化に伴い脂肪摂取量の増加が問題となっており,トランス脂肪酸の摂取量も増加していると考えられる。トランス脂肪酸は成人病のリスクを上げる可能性があり,胎児・新生児では母体から胎盤を通過し胎児に移行し,早産児では多価不飽和脂肪酸含有量(LCPU)と負に相関する可能性がある3)。またトランス脂肪酸と排卵障害による不妊症の関係性が報告されている4)。このような背景のもと,わが国でも早急にトランス脂肪酸の胎児妊婦での影響を調べる必要があり今回の以下の3つの検討を行った。</p><p> ①府立母子保健センター新生児科で経験した止血異常を伴うIUGRについての検討</p><p> ②正常新生児臍帯血と母体血,IUGR臍帯血と母体血でのトランス脂肪酸含有率の比較</p><p> ③正期産妊婦とIUGR妊婦での小児期からの食事内容についてのアンケート調査</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580793844724352
  • DOI
    10.34456/jspnmsympo.26.0_49
  • ISSN
    2759033X
    13420526
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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