症候性先天性サイトメガロウイルス感染症に対する胎児治療と新生児治療

DOI
  • 谷村 憲司
    神戸大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター産科部門

抄録

<p> 背景</p><p> 症候性の先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症では児に低出生体重(SGA),小頭症,脳室拡大,肝脾腫,聴力障害などの症状がみられ,5~9割に難聴や精神運動障害といった重篤な後遺症が残るとされる1〜4)。報告によって,後遺症発生率に差があるのは,対象となる罹患児の重症度が異なるからである。しかし,すでに胎児期に症候性先天性CMV感染症と診断される症例は最重症例と考えられ,ナチュラルコースでの後遺症発生率は非常に高いことが推察される。そのため,症候性先天性CMV感染症児の予後改善のための試みがなされている。これまでに症候性先天性CMV感染児に対する免疫グロブリン(Ig)の母体静脈内と羊水もしくは臍帯静脈内投与5)や高用量バラシクロビルの母体経口投与による胎児治療6)などの報告,また,わが国でも多施設研究としてIgの胎児腹腔内もしくは母体静脈内投与による胎児治療7)の報告がある。</p><p> 一方,近年,症候性先天性CMV感染症児に対するガンシクロビル(GCV)やバルガンシクロビル(VGCV)などの抗ウイルス薬を用いた新生児治療により,難聴ばかりでなく,精神運動発達も改善することが報告されている8〜11)。</p><p> しかし,これまで症候性先天性CMV感染症に対して胎児治療と新生児治療を一貫して行ったという報告はなく,その有用性は明らかではない。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580793844802176
  • DOI
    10.34456/jspnmsympo.37.0_75
  • ISSN
    2759033X
    13420526
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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