CNF強化樹脂(cellenpia<sup>®</sup> PLAS)の開発状況

  • 福田 雄二郎
    日本製紙株式会社 研究開発本部 富士革新素材研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Development Status of CNF Reinforced Plastics(cellenpia<sup>®</sup> PLAS)

抄録

近年,世界的な環境意識の高まりから,低炭素社会,持続可能な循環型社会の実現が求められている。当社は紙に使用されるパルプなどに由来するセルロース資源の新しい展開先として,セルロースナノファイバー(CNF)についての検討を進めてきた。これまでに,TEMPO酸化CNFやカルボキシメチル(CM)化CNFなどにおいて,いち早く量産化設備を導入し,実用化を果たしている。さらなるセルロース資源の活用法として,セルロース繊維をプラスチック(樹脂)の補強材として使用する強化樹脂事業への展開を進め,自動車部材や建材などの構造材用途への活用を検討している。CNF強化樹脂は,セルロースを細かく粉砕し,これを樹脂中に均一に分散した補強材として活用できる素材である。また自動車部品など構造材料の軽量化による二酸化炭素排出削減のための補強材としての開発が活発に行われている。さらにセルロース資源は再生可能な材料であり,この材料を使用することで,プラスチックの使用量や廃棄物量の削減に貢献することも可能である。<br>このような強化樹脂について,当社は京都大学矢野教授らと共同で開発した,変性パルプと樹脂との混練時に解繊と分散を同じに行う,パルプ直接混練法(京都プロセス)を使用して開発している。我々は2017年には実証設備を導入し,希望するメーカーにサンプルワークを進めてきた。本報告では,当社実用化検討の中で得た知見の一部を紹介し,当社CNF強化樹脂事業の展望を報告する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 78 (2), 107-111, 2024

    紙パルプ技術協会

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