ヒドロキシクロロキンが奏効した著明な眼瞼浮腫をきたした lupus erythematosus tumidus の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Bilateral Eyelid Edema with Erythema as Manifestation of Lupus Erythematosus Tumidus Successfully Treated with Hydroxychloroquine

抄録

<p>75 歳,男性。初診 4 カ 月前より顔面に紅斑が出現した。次第に背部や前胸部にも皮疹が拡大し,初診 1 カ 月前より両眼瞼に紅斑を伴う浮腫が出現した。ステロイド軟膏,メトロニダゾール軟膏やタクロリムス軟膏の外用を行うも難治だったため当科を受診した。初診時,淡い紅斑を伴う両上下眼瞼の浮腫と前胸部,上背部に浮腫性の紅斑を認めた。紅斑はいずれも鱗屑を伴っていなかった。また,瘙痒や関節痛,筋力低下もなかった。血液検査,尿検査と造影 CT 検査で特記所見を認めなかった。病理組織学的所見では表皮基底膜部の軽度の液状変性や血管,付属器周囲のリンパ球の浸潤に加え,真皮全層にかけてムチンの著明な沈着を認めた。蛍光抗体直接法では IgG が表皮基底膜に線状に付着していた。Lupus erythematosus tumidus(LE tumidus)と診断し,ヒドロキシクロロキン内服で治療した。開始約 6 週間で眼瞼浮腫は著明に改善した。エリテマトーデスに関連する眼瞼浮腫は比較的稀であり,広く認識されていない。LE tumidus は,露光部に好発する滑らかな結節や蕁麻疹様の局面で,鱗屑や萎縮がないのが特徴である。病理組織学的には,表皮の変化はほとんどなく,血管周囲や付属器周囲の著明なリンパ球の浸潤と真皮のムチンの沈着を特徴とする。一般的に予後は良好である。紅斑を伴う眼瞼浮腫が持続する患者を診察する際には,エリテマトーデスを鑑別すべき疾患にあげる必要があることを自験例は示唆している。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (1), 22-25, 2024-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (12)*注記

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