多発巨大肝囊胞の形態をとった血管肉腫の1例

  • 舩岡 昭宏
    NTT東日本関東病院肝胆膵内科 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター消化器病センター
  • 沼倉 里枝
    帝京大学医学部附属病院病理診断科
  • 寺谷 卓馬
    NTT東日本関東病院肝胆膵内科
  • 斉藤 光次
    帝京大学医学部附属病院病理診断科
  • 佐野 圭二
    帝京大学医学部附属病院外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A case of angiosarcoma with multiple giant liver cysts

抄録

<p>症例は60代女性.労作時呼吸苦,右季肋部痛を主訴に受診され,CTで多発巨大肝囊胞による胸腔の圧排が指摘されたため当科紹介となった.最大径14 cmの肝囊胞を10個肝臓内に認め,同時に脾腫瘤も指摘された.3年前には肝囊胞は指摘できず,悪性腫瘍の可能性を考えEUS,CT,MRI,PET-CT,上下部内視鏡検査,造影エコー検査を施行し,囊胞穿刺で囊胞内の液体を細胞診に提出したがいずれの検査でも悪性所見は認められなかった.臨床経過から悪性腫瘍と判断し,他院にて拡大肝右葉切除術を施行.囊胞壁は線維性被膜様組織からなり,内部で異型細胞が血管様の腔を形成しながら増殖していた.核異型が目立ち,CD31(+),CD34(+)であることから病理学的に血管肉腫と診断した.単純性肝囊胞の画像所見を呈する血管肉腫の報告はなく,特異な臨床経過を辿ったため報告する.</p>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 65 (3), 121-130, 2024-03-01

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (20)*注記

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