細胞試験における健康食品成分の肝毒性評価系の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Assessment for hepatotoxicity of health food components in cell tests
抄録
<p>【目的】近年、健康食品による肝毒性およびチトクロームP-450(CYP)の誘導を介した肝障害が注目されている。健康食品によるCYP3A4の誘導は動物実験から報告されており、健康食品と医薬品との相互作用が肝障害に関与することも予測される。一方、健康食品の肝毒性およびCYP誘導を評価するための簡便で安定した評価系は確立されていない。本研究では、細胞試験から健康食品による肝毒性およびCYP3A4誘導能の評価系を検討した。検討結果を基に、14種類の健康食品成分の肝毒性およびCYP3A4誘導への影響を検討した。</p><p>【方法】肝毒性の評価は、HepG2を用い、乳酸デヒドロゲナーゼ活性(LDH)および細胞増殖活性(PA)を測定することで検討した。CYP3A4の誘導能はCYP3A4の近位プロモーター領域および異物応答領域を組み込んだレポーターアッセイから検討した。HepG2調製したレポーターベクターを組みこみ、CYP3A4誘導剤に対する特異性を検討した。これらの方法を用い、健康食品成分(14成分)による肝毒性およびCYP3A4誘導能の評価を行った。</p><p>【結果・考察】HepG2は毒性対照(ジメチルスルホキシド)の処理に応じて、LDHを増加させ、PAを低下させた。この結果から肝毒性評価系を設定した。調製したレポーターベクターはCYP3A4誘導剤に応じて遺伝子転写活性を増加させ、CYP3A4への特異性を示した。以上を基に健康食品成分の評価を行ったところ、ルテオリンのみが肝毒性を示し、ケルセチンのみがCYP3A4の遺伝子転写活性を1.5倍に増加させた。HepG2は代謝能を消失していることから、本法は健康食品成分そのものの肝毒性およびCYP3A4誘導能を評価する方法として提案される。今後は、この方法をもとに生体位を模倣した評価系を検討する必要がある。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), O3-20-, 2023
日本毒性学会