カドミウムによる内皮細胞毒性に対するインテグリン発現の関与
書誌事項
- タイトル別名
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- Involvement of the expression of integrins in cadmium-induced cytotoxicity in vascular endothelial cells.
抄録
<p>【目的】血管の内腔を単層で覆う内皮細胞は,血管の内腔を単層で覆い,その機能障害は血管病変の発症・進展に関与する。カドミウムは血管病変の発症・進展の危険因子であり,内皮細胞層に対して脱離様の細胞傷害を引き起こす。インテグリン(ITGs)は,αおよびβサブユニットのヘテロ二量体からなる膜貫通型の細胞接着分子であると同時に,分化,増殖および細胞死にも関与する細胞内シグナルを制御する受容体でもあるが,カドミウムの内皮細胞毒性に対するITGsの関与は不明である。本研究は,ITGs発現変化のカドミウムによる内皮細胞毒性への関与とカドミウムがITGs発現に与える影響の解明を目的とした。【方法】コンフルエントまで培養したウシ大動脈内皮細胞にカドミウムを曝露して,細胞傷害性をギムザ染色による形態学的観察および培地中のLDH量により評価した。siRNAの導入にはリポフェクション法を用いた。タンパク質およびmRNA発現はウエスタンブロット法およびreal-time RT-PCRによりそれぞれ解析した。siRNAの導入にはリポフェクション法を用いた。【結果および考察】血管内皮細胞において,構成的発現が認められたサブユニットITGA1,ITGA2,ITGA3,ITGA5,ITGA6,ITGAV,ITGB1,ITGB3,ITGB4およびITGB5の構成的な発現が認められた。これらのうち,ITGB4およびITGB5発現を抑制したとき,カドミウムと同様の内皮細胞層の傷害が認められた。カドミウムに曝露された血管内皮細胞では,ITGB4およびITGB5タンパク質の発現が低下していた。このとき,ITGB4,ITGB5に加えてその他のサブユニットのmRNA発現も減少していた。以上より,カドミウムはITGB4およびITGB5発現を抑制すること,およびその抑制により内皮細胞毒性が増強されることが示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P1-051S-, 2023
日本毒性学会