ヒト初代肝細胞を用いたマルチオミクス解析によるin vitro肝毒性評価法の開発

DOI
  • 池田 和輝
    九州大学大学院システム生命科学府メタボロミクス分野
  • 高橋 政友
    九州大学大学院システム生命科学府メタボロミクス分野 九州大学生体防御医学研究所
  • 秦 康祐
    九州大学生体防御医学研究所
  • 中谷 航太
    九州大学生体防御医学研究所
  • 油屋 駿介
    日本学術振興会特別研究員PD
  • 富安 範行
    九州大学大学院システム生命科学府メタボロミクス分野
  • 松本 雅紀
    新潟大学大学院医歯学総合研究科
  • 馬場 健史
    九州大学大学院システム生命科学府メタボロミクス分野 九州大学生体防御医学研究所
  • 和泉 自泰
    九州大学大学院システム生命科学府メタボロミクス分野 九州大学生体防御医学研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Development of in vitro drug-induced hepatotoxicity evaluation method based on multi-omics analysis using human primary hepatocytes

説明

<p>薬物誘発性肝障害 (DILI) は,医薬品開発中止の主要な原因である.DILI評価にメタボロミクス・プロテオミクスによるマルチオミクス解析を応用することで,更なる毒性メカニズムの解明が期待される.しかし,DILI評価に適するヒト初代肝細胞 (PHH) はコストが高く,同一ロットの入手数も限られるため,マルチオミクス研究への応用が進んでいない.そこで本研究では,従来の1/100相当の細胞数からなる5 × 104 cellsからマルチオミクス解析ができる96-well plateを用いた試料調製法を構築したので報告する. 本研究では,同一のPHHs試料から薬物代謝物,メタボローム,プロテオームの情報が取得できるように,前処理工程で効率的な分画を行うことで,マルチオミクス解析を可能にした.さらに,前処理からLC/MSへの試料導入までを96-well plate上で完結させることで,試料損失量を最小限に抑えることができ,従来の1 × 106 ~1 × 107 cellsを用いたバルク分析と比べて検出感度と堅牢性を維持しつつ,前処理操作のスループット向上を達成した.続いて,開発した分析系を用いて10%の阻害濃度でのアセトアミノフェン (APAP) を暴露したPHHsのマルチオミクス解析を行ったところ,APAP暴露群のみでAPAPやその関連代謝物を検出し,同時にCYPや抱合反応に関わる酵素の一部も有意な増加が確認された.加えて,マルチオミクス情報をパスウェイ解析に供したところ,GSHの枯渇やグルクロン酸抱合関連代謝物量の低下などin vivoで観察されている内生代謝の変化をin vitro系でも同様に捉えることに成功した.今後,本手法を用いて様々な薬物での評価を進めていくことで,詳細な毒性メカニズムの解明につながることが期待される.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580870561246336
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p1-032e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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