亜ヒ酸によるC2C12細胞の分化誘導阻害作用の解析
書誌事項
- タイトル別名
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- Inhibitory effect of arsenite on differentiation of mouse myoblast C2C12 cells
抄録
<p>【背景】バングラデシュ等のアジア諸地域では、井戸水を介した慢性ヒ素中毒が深刻な問題となっている。慢性的なヒ素曝露により、糖尿病を発症することが知られているが、その機序は不明である。そこで、糖代謝を担う筋肉組織に着目しマウス筋芽C2C12細胞を用い、筋細胞への分化誘導に対するヒ素化合物の影響を検討した。【方法】細胞:マウス筋芽C2C12細胞、C2C12細胞の分化:分化誘導培地として2%馬血清含有培地で培養した。分化マーカーである抗MHC抗体で蛍光染色し、蛍光顕微鏡にて観察した。タンパク質発現:ウエスタンブロット法 【結果と考察】播種したC2C12細胞を分化誘導培地に交換し、8日後の細胞をMHCで染色したところ、分化によって生じる多核細胞(一つの細胞に2個以上の核を有する細胞)が確認できた。そこで、C2C12細胞の分化誘導における亜ヒ酸(As(III))の影響を調べるために、分化誘導培地にAs(III)を添加し培養した。8日後の細胞を顕微鏡下で観察したところ、多核細胞の出現がAs(III)により著しく減少した。この条件のライゼートをウエスタンブロットで測定したところ、MHC発現量はAs(III)の濃度依存的に減少しており、5, 10 μMのAs(III)曝露では検出されなかった。次に、あらかじめ6日間As(III)に曝したC2C12細胞を播種し、8日間As(III)が無い状況で分化を誘導したところ、顕微鏡下では多核細胞の出現が著しく減少しているにもかかわらず、ウエスタンブロットによるMHC発現量に変化は無かった。以上の結果から、As(III)によりC2C12細胞の多核細胞への分化は阻害されるものの、As(III)曝露のタイミングにより阻害の機序が異なることが明らかとなった。今後、分化誘導に関わる因子について調べることで、As(III)に分化の阻害機序を明らかにする予定である。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P1-049S-, 2023
日本毒性学会