ヒトグリオブラストーマに対する抗腫瘍活性を示す薬剤の併用効果の検討
書誌事項
- タイトル別名
-
- Combination efficacy of drugs with antitumor activity against human glioblastoma cells
抄録
<p>【目的】グリオブラストーマ(GBM)は、神経膠細胞が腫瘍化した脳腫瘍の一つであり、脳腫瘍の中でも最も悪性度が高く、有効な治療法は確立されていない。近年、ドラッグリポジショニング研究により、in vitroでGBMに対して殺細胞効果を示す既存薬が見出されている。本研究では、より効果の高いGBMへの治療法の開発を目指し、GBMに対する殺細胞効果を有する既存薬を併用することで、その殺細胞効果を相加的あるいは相乗的に強める組み合わせを見出すことを目的とした。【方法】ヒトGBM由来U251細胞を、亜ヒ酸、アスコルビン酸(AA)、レチノール(Rol)、レチノイン酸(RA)、バルプロ酸(VPA)のうち、単剤または2剤で24もしくは48時間処理し、CCK-8 assayにより細胞生存率を測定した。また、U251細胞をRolとRA、亜ヒ酸とAAで併用処理し、小胞体(ER)ストレスマーカー(CHOPおよびGRP78)の発現レベルをqPCR法により測定した。【結果・考察】上記薬剤で単独処理または併用処理したU251細胞の細胞生存率を検討し、相加・相乗効果を確認した。その結果、Rolは、VPAとの併用により相加効果を、RAとの併用により相乗効果を示した。また、AAと亜ヒ酸との併用により、相乗的な殺細胞効果が確認された。本研究で相加的または相乗的な殺細胞効果を示した薬剤を併用することによって、GBMに対する治療効果の増強に繋がることが期待される。VAおよびVCは、ともにERストレスの誘導を介して抗腫瘍効果を示すことが報告されている。さらに、相乗効果が認められたRolとRAおよびAAと亜ヒ酸の併用処理により、CHOPおよびGRP78の発現誘導が確認されたことから、これらの薬剤の併用はERストレス誘導を介してヒトGBMに対して抗腫瘍効果を示している可能性が考えられる。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P1-085S-, 2023
日本毒性学会