カドミウム毒性史・メタロチオネイン防御史と課題

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タイトル別名
  • Cadmium toxicity history, metallothionein protection history, and their problems

抄録

<p>有害金属であるカドミウム(Cd)の健康影響については、精錬工場や電池工場などの職場でのCd曝露、および一般環境汚染による飲食物を介したCdの過剰摂取によって腎臓、肝臓、骨、呼吸器並びに循環器などに障害が認められている。特に、慢性腎毒性は尿細管機能障害を主症状とし、Cdの安全性評価の対象となっている。わが国では、職業曝露によるCd中毒のみならず、多くのCd汚染地域で慢性腎毒性が発生した。特に、富山県神通川流域で、Cdの環境汚染により長期間Cdを経口摂取した結果、高齢経産婦に腎毒性と骨軟化症を主症状とするイタイイタイ病が発生している(1968年公式発表)。このイタイイタイ病の発生を機にCdの健康リスク評価が研究され、さらにはCdの毒性発現機構の解明などの研究も進められてきた。また、今日、わが国において、産業職場や環境汚染によるCd中毒はほとんど認められていない。しかしながら、Cdは微量ながらコメなどの食品を介して生涯にたって身体に取り込まれ、しかも体内残留性が非常に高い(ヒトでの生物学的半減期:15〜30年)ため、最近ではCdの微量長期曝露による高齢者の健康影響が問題となっている。一方、メタロチオネイン(MT)は、1957年にウマの腎皮質からCd結合タンパク質として単離された。MTは、構成アミノ酸の約1/3(20個)をシステインが占めていることから、金属に対する親和性が高く、フリーラジカル消去作用を有する。これまでの研究で、MTは、銅や亜鉛などの必須金属の恒常性の維持に関与するとともに、Cdをはじめとする様々な有害因子の毒性や種々の疾病に対して防御的役割を果たしていることが明らかにされている。本シンポジウムではCdの毒性とMTの生体防御に関するこれまでの知見を紹介するとともに、今後の課題についても言及する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580870561564928
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_s3-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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