O-7b-02 当センター長期入所者における悪性腫瘍罹患者の初発症状の検討

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抄録

目的 当センター長期入所者の高齢化に伴い、悪性腫瘍罹患者が増加している。初発症状、確定診断時までに出現している検査異常を調査し、検討した。 対象と方法 過去5年間(2016年4月〜2021年7月)で当センターに長期入所中の患者のうち、入所中に悪性腫瘍を発症していた患者の診療録を後方視的に調査した。 結果 入所後に悪性腫瘍を発症したのは22名、そのうち死亡したのは4名だった。初発症状は、進行性・難治性貧血3名(大腸癌・胃癌・悪性リンパ腫)、遷延・反復する発熱2名(大腸癌・肝細胞癌)、腫瘤触知2名(乳癌・精巣セミノーマ)、難治性オムツ皮膚炎2名(乳房外Paget病・原発不明腺癌)、イレウス2名(回腸癌・大腸癌)、不正性器出血1名(子宮体癌)、血便1名(大腸癌)、便秘悪化2名(大腸癌)、定期超音波検査での腫瘤発見1名(大腸癌)、不明2名(精巣セミノーマ・卵巣癌)だった。初発症状に気づかれてから確定診断までの期間は同日から約1年であったが、予後には明らかな関連はなかった。外科的に原発巣を切除できた場合の予後は比較的良好だった。確定診断から5年以上経過した9症例では全員が原発巣を摘出できており、1例は術後5年で多発転移のため死亡、1例は悪性腫瘍以外の疾患で死亡、その他の7例は再発なく生存している。腫瘍の浸潤・転移のため原発巣の部分切除に留まった2症例は、2例とも死亡した。 考察 悪性腫瘍の初発症状は多彩で非特異的だが、通常の治療に反応しないことから悪性腫瘍を疑われ、精査を行って診断に結びつくことが多かった。悪性腫瘍を強く示唆する特定の症状や検査所見は明らかではなくても、診察・症状観察・基本的な検査を注意深く行い、悪性腫瘍を念頭に置くことが重要と考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390580925873536896
  • DOI
    10.24635/jsmid.46.2_254_2
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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