O-7b-04 当施設での未成年長期入所者の水痘・ムンプス・麻疹・風疹ウイルス抗体価の推移について
Abstract
背景 重症心身障害児施設長期入所者は、ブースター効果の機会が少ないことからVPD(Vaccine Preventable Diseases)に対する免疫が不十分なことが予想されるが、ウイルス抗体価の推移や予防接種後の抗体獲得に対する検討は少ない。 方法 未成年の長期入所者を対象とし、2018、2021年に測定した水痘、ムンプス、麻疹、風疹ウイルスの酵素免疫法(EIA-IgG)での抗体価について後方視的に検討し、低年齢群と高年齢群に分けて比較した。抗体陽性は4.0以上と定義した。予防接種状況についても調査した。 結果 対象は計26人で年齢は5-17歳(平均11.1歳)で、低年齢群は10歳以下の13人、高年齢群は11歳以上の13人とした。抗体価平均は水痘(4.3/4.5)、ムンプス(3.2/5.8)、麻疹(19.0/15.5)、風疹(10.5/10.0)、抗体陽性率は水痘(38.5/42.3%)、ムンプス(23.1/61.5%)、麻疹(88.5/100%)、風疹(76.9/80.8%)で、年齢群での比較は、水痘、ムンプス、麻疹はほぼ差がなく、風疹は高年齢群で(92.3/100%)、低年齢群で(61.5/61.5%)だった(2018/2021年)。調査期間中に予防接種を行ったのは水痘46.1%、ムンプス77.0%、麻疹風疹混合34.6%、麻疹3.8%、風疹3.8%で、ワクチン2回接種後の入所者の割合は水痘96.2%、ムンプス77.0%、麻疹80.8%、風疹80.8%となった。ワクチン2回接種後の抗体非陽性率は水痘60.0%、ムンプス35.0%、麻疹0%、風疹23.8%だった。調査期間中の罹患者は水痘1人のみだった。 考察 ワクチン2回接種後でも抗体が陽性化しない例や減衰する例があり、水痘で多くみられた。水痘ワクチンが定期接種化される以前の、中北らによる一般小児5-17歳の年齢別調査では抗体陽性率は64.2-100%で(名古屋市衛研報、2007)、長期入所者は一般集団と比べて抗体価が維持されにくい可能性がある。長期入所者は予防接種後であってもVPDを発症しうることを念頭に入れ、感染対策に取り組む必要があると考えられた。
Journal
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- Japanese Journal of Severe Motor and Intellectual Disabilities
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Japanese Journal of Severe Motor and Intellectual Disabilities 46 (2), 255-255, 2021
Japanese Society on Severe Motor and Intellectual Disabilities
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390580925873550208
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- ISSN
- 24337307
- 13431439
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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- Abstract License Flag
- Allowed