リンゴ褐斑病の開花期感染が広域的な発生に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Impact of primary infection during the bloom stage on widespread occurrence of apple blotch caused by <i>Diplocarpon coronariae</i>

抄録

<p>本研究では,一般園地における褐斑病の流行初期と盛期の発生について,一次感染開始日と前年秋期の発生の影響を解析した.岩手県内の3地域における一次感染開始日(平均)は,1998~2016年まではリンゴ品種「ふじ」の落花期以降であったが,2017年~2022年は開花期であった.過去25年間(1998~2022年)の巡回調査結果863事例を使用し,園地レベルでの発生の有無を応答変数,各要因を説明変数とするロジスティック回帰分析を実施した.その結果,流行初期と盛期の発生は「開花期感染」や「前年秋期の発生」と有意な関連があり,両要因を説明変数とする一次感染モデルにより説明できることがわかった.また,75事例の発生園地率を用いた地域レベルの解析では,流行盛期の発生量の概評「多」(発生園地率43.3%超)について,「開花期感染」と「前年秋期の発生量」を説明変数とする一次感染モデルによって説明することが可能であった.流行盛期の発生量に関する一次感染モデルの判別的中率は87%であり,二次感染モデルの場合(88%)と同様に80%以上の精度を示した.以上の結果から,褐斑病の流行盛期の発生には一次感染の時期や量が緊密に関連しており,特に開花期感染は広域的な発生をもたらす重大なリスク要因であることが示された.</p>

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