ジャーナリストたちの現場から Vol.2 被災地に向き合い続けたカメラマン徳田憲亮の軌跡

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書誌事項

タイトル別名
  • The Current State of Journalists—the Quest for Trusted Media [Vol.2] The Great East Japan Earthquake—Following the Tracks of Noriaki Tokuda, a Cameraperson Who Kept Walking Alongside the People in Affected Areas
  • The Potential of Broadcasting Staying Close to Local Residents
  • 東日本大震災に見る"寄り添う"報道の可能性

抄録

本稿は、2023年4月からNHK放送文化研究所のホームページで連載している「調査報告 ジャーナリストたちの現場から」の第4回(前編)、第5回(後編)に一部加筆・修正を加えて再録したものです。 連載では、いわゆる“オールドメディア”とされるテレビや新聞を中心としたジャーナリズムに向けられている、受け手側(読者・視聴者)の不信を意識したうえで、それに現場のジャーナリストたちがどのように向き合っているかを記録しています。 今回は、1年あまり前に亡くなったNHK釜石支局のカメラマンについて取り上げます。東日本大震災の被災地で、彼はどのように地域の人々から厚い信頼を得て、それに基づく番組やニュースリポートの発信をしてきたのか。取材相手や同僚らの証言を積み重ねることで、その過程や特徴を掘り起こしていく手法をとりました。そこから見えてきたのは、地域の一員として人々とともに歩み、同じ目線の「当事者」として向き合うことの大切さでした。 それは同時に、私たちマスメディアの取材者が雲の上から見たような“俯瞰した目線”で、型にはめて物事を伝えることの危うさを示唆しているようにも思います。メディアに対する受け手の不信が募っている今、地域の人々に同じ目線の「当事者」として向き合うことの重要性にあらためて光を当てることで、ジャーナリズムに対する信頼をつなぎとめる方策を考える上での参考になれば幸いです。 本稿を執筆中の2024年1月1日には、最大震度7の能登半島地震が発生し、東日本大震災以来の大津波が街を襲い、家屋倒壊や土砂崩落、火災などで多くの生命が失われました。また、広い範囲で大勢の方が住む家を失い、厳しい寒さのなかで避難生活を余儀なくされています。今後、現地での取材活動を続けていく中で、被災地の人々にどう向き合い、何を伝えていくべきなのか。東北の被災地での経験や教訓が少しでもいかされればと考えています。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581003356437632
  • DOI
    10.24634/bunken.74.3_28
  • ISSN
    24335622
    02880008
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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