超音波内視鏡下組織採取後の穿刺経路腫瘍細胞播種に関する全国調査

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • NEEDLE TRACT SEEDING AFTER ENDOSCOPIC ULTRASOUND-GUIDED TISSUE ACQUISITION OF PANCREATIC TUMORS: NATIONWIDE SURVEY IN JAPAN

抄録

<p>【背景・目的】超音波内視鏡下組織採取法(EUS-guided tissue acquisition:EUS-TA)は,膵腫瘍の診断において重要な役割を担っている.本研究では,膵腫瘍のEUS-TA後の穿刺経路腫瘍細胞播種(Needle tract seeding:NTS)の現状を本邦の全国調査から明らかにすることを目的とした.</p><p>【方法】2010年4月から2018年3月までに実施した原発性膵腫瘍に対するEUS-TA後に外科的切除を受けた患者を調査対象とした.NTSの発生率を求め,浸潤性膵管癌(Pancreatic ductal adenocarcinoma:PDAC)およびその他の腫瘍の患者,PDACの経胃・経十二指腸EUS-TAを受けた患者の間で比較した.さらに,NTS患者の詳細な特徴や予後も評価した.</p><p>【結果】合計12,109人の患者が,EUS-TA後に原発性膵腫瘍の外科的切除を受けた.NTSの全発生率は0.330%であり,その発生率は他の腫瘍を有する患者よりもPDACを有する患者で有意に高かった(0.409% vs. 0.071%,P=0.004).NTSは,経胃EUS-TAを受けた患者の0.857%で観察されたが,経十二指腸EUS-TAを受けた患者の中では観察されなかった.PDACのNTSを認めた患者のうち,EUS-TAからNTSの発生までの期間の中央値および患者の生存期間の中央値は,それぞれ19.3カ月および44.7カ月であり,NTSの97.4%が胃壁に発生し,65.8%が切除された.患者生存期間は,NTS切除を行った患者では,NTS切除を行わなかった患者よりも有意に長かった(P=0.037).</p><p>【結論】NTSは,経十二指腸EUS-TA後では発生せず,経胃EUS-TA後にのみ出現した.慎重な経過観察により,局所的なNTS病変を胃切除術で治療する機会が得られる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581014219736960
  • DOI
    10.11280/gee.66.312
  • ISSN
    18845738
    03871207
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ