抄録
1990年、米国議会は「アメリカ先住民墓地保護・ならびに返還法(NAGPRA)」を可決した。この法律は、アメリカ先住民が先祖代々の遺骨と遺品を取り戻すための手続きを定めたものである。画期的な公民権法として賞賛されているのは当然だが、NAGPRAは、歴史的不正義を是正するために返還を利用する長い旅のほんの一部に過ぎない。実際、返還は、先住民が自分たちの文化遺産を保護し、文化的信条を実践し、自分たちが深く結びつく土地と祖先を敬うために、世代を超えて世界的に行われてきた運動である。この発表では、12年以上返還に携わってきた博物館学芸員としての私の経験にもとづき、返還が、一過性の出来事ではなく持続的な運動であること、また、それが世代を超え国境を越えた行動と連携を必要とすることを示す。このような考え方にしたがえば、先住民指導者、博物館職員、政府関係者は、返還という修復作業が長期的かつ多文化的な事業であることを受け入れるように促されるであろう。
収録刊行物
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- アイヌ・先住民研究
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アイヌ・先住民研究 4 233-239, 2024-03-29
北海道大学アイヌ・先住民研究センター
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390581070826837248
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- HANDLE
- 2115/91328
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- ISSN
- 24361763
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可