せん妄のエピジェネティクス仮説に基づいた候補遺伝子探索およびゲノム網羅的アプローチによる研究

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タイトル別名
  • Epigenetic Hypothesis of Delirium:Candidate gane approach and genome‐wide investigation

抄録

本稿では,せん妄の発症メカニズムにおけるエピジェネティクスの役割を解明することをめざしたこれまでの研究を概説する。まず,DNAメチル化とせん妄発症の関連に焦点を当て,Grady Trauma Projectコホートを用い,TNF‐alpha遺伝子のメチル化が年齢と負の相関を,同時に発現が正の相関をすることを見出した。この傾向は,脳のグリア成分でも保たれていることを確認したが,ニューロンでは失われていることを報告した。さらに,せん妄患者と非せん妄患者の比較から,せん妄群におけるTNF‐alpha遺伝子のメチル化低下が示され,せん妄発症におけるこの変化の重要性が示唆された。また,神経栄養因子遺伝子のメチル化パターンの年齢依存的な変化も観察され,これがせん妄リスクの増加に関連している可能性も示された。最後に,せん妄患者と非せん妄患者間のDNAメチル化パターンの違いをゲノム網羅的に分析し,免疫応答や細胞活性化の経路に関連する遺伝子のメチル化変化を特定した。これらの結果は,せん妄の発症メカニズムにおけるエピジェネティックな変化の重要性を強調している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581070827102720
  • DOI
    10.11249/jsbpjjpp.35.1_40
  • ISSN
    21866465
    21866619
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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