横光利一におけるマルクス主義思想の受容と感覚概念の形成

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Yokomitsu Riichiʼs Acceptance of Marxism and Formation of Idea of Sense(kankaku)
  • ――In Comparison to Kurahara Korehito's Marxist Aesthetic――
  • ──蔵原惟人の感覚論との比較を通して──

抄録

本稿では横光利一のマルクス主義思想の受容と感覚概念の形成を検討した。その際、マルクス主義思想では本来、批判の対象であるはずのフェティシズムを横光が好意的に捉える理由に着目し、そのこととプロレタリア文学者の蔵原惟人によるフェティシズム批判を比較した。蔵原は物質に階級格差を見出し、感覚という語を階級意識という意味で用い、思想の伝染性を駆使して階級闘争の実現を図る。一方、横光は人間や物質間で伝染しあう感情の知覚を重視する。ここから二人は物質主義及び感情・思想を伝染という観点から捉える点で接近するが、文学を大衆啓蒙の手段とする蔵原に対して、対象との一体感自体を言語化しようとする点に横光の感覚概念の独自性があると結論づけた。

収録刊行物

  • 横光利一研究

    横光利一研究 2022 (20), 52-65, 2022-03-17

    横光利一文学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581070827632768
  • DOI
    10.20822/yokomitsuriichi.2022.20_52
  • ISSN
    24242462
    13481460
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ