Fate of “Individuals” and divination in Yokomitsu Literature

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  • 横光利一文学における〈個〉の運命と易
  • ――“Basha” in the Contemporary Discourses――
  • ──同時代言説の中の「馬車」──

Abstract

横光利一は、「馬車」執筆に際し、群馬県草津温泉のハンセン病患者居住地区「鈴蘭村」、および、そこで看護を行った三上千代について何らかの情報を得ていたものと考えられる。さらに、遠藤隆吉の著作を含む同時代の易関連の文献を参考にしていた可能性も非常に高い。また、「馬車」における易の問題は、横光の心身一元論的な人間観の延長線上に位置している。〈西洋対日本〉という構図に回収されない、易という〈日本以外の東洋〉の思想への関心が伺える点にこそ、横光文学全体の中での「馬車」の特異性が認められる。「馬車」に描かれているのは、西洋近代科学を完全に信頼することはできず、他方では〈個〉の運命を予言する易という東洋の思想体系を信じ切ることもできない近代人の姿である。

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