母親の認知する父親の感応的協働性尺度の作成:コペアレンティングにおいて母親が父親に対して抱く「察してほしい」思いに着目して

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書誌事項

タイトル別名
  • Development of the Mother-perceived Father's Sensitive and Responsive Coparenting Scale: Measuring Proactive Father Involvement

抄録

<p>本研究の目的は,父親が子育てと家事のニーズを感知し,感受性と応答性をもって自ら関与しようとする姿勢(感応的協働性)に対する母親の認知を測定する尺度(母親の認知する父親の感応的協働性尺度)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。6歳未満の子どもを持つ母親497名(調査1)と母親499名(調査2)がウェブ調査に参加した。調査1では,母親の認知する父親の感応的協働性尺度10項目について探索的因子分析により1次元性と高い内的整合性(α=.95)が得られた。調査2では主成分分析により1次元性を再確認した。他の変数との相関では,母親の認知する父親の感応的協働性の高さは,母親による父親の育児行動への促進の高さと批判の低さ,夫婦関係満足感の高さ,母親の認知する父親の共感性(他者指向的反応と視点取得)の高さと有意に関連した。また,母親の認知する父親の感応的協働性は日本語版コペアレンティング関係尺度(CRS-J)の5下位尺度と有意な正の関連を認め,母親の認知する父親の感応的協働性が高いほどコペアレンティングがうまくいっていることが示された。加えて,夫婦で子育てのことを話し合える信頼感の高さとも有意な関連がみられた。以上により,母親の認知する父親の感応的協働性尺度は,高い内的整合性をもち,調和的コペアレンティングとして先行研究が示す構成概念を備えた尺度として妥当性を有することが示された。</p><p>【インパクト】</p><p>本研究は,パートナー(本研究では父親)が子育てと家事のニーズに,感受性と応答性をもって自ら関与しようとする姿勢を父親の感応的協働性と定義し,主要な育児担当者(母親)の認知するパートナーの感応的協働性を測定することにより,調和的コペアレンティングの評価を可能にした。コペアレンティングにおける「察する」関係の重要性に着目した本尺度は,今後のコペアレンティング研究の展開に大きく寄与することが期待できる。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 35 (1), 26-38, 2024-03-20

    一般社団法人 日本発達心理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148791416832
  • DOI
    10.11201/jjdp.35.0059
  • ISSN
    21879346
    09159029
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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